ディスクロード考~まだリムブレーキロードバイクで消耗してるの?DBに変えるだけで人生はうまくいく~

 UCIが掌を返してディスクブレーキロードバイクを解禁しましたね。これまで禁止していたのは中堅以下のメーカーがディスクブレーキモデル(以下ディスクブレーキはDBとする)を開発できるように猶予期間を用意していただけという説もありますが真相は不明です(105油圧が出たタイミングってすごいタイミングですよね)。で、DBってどういうものなのか、ロードバイクしか乗ったことがない人にもわかりやすいようにDBロードのメリットデメリットを交えて述べてみたいと思います。


メリット
1ブレーキ性能の向上
 メリットとして、一つ目に上げられるのはやはりブレーキ性能の向上でしょう。どう頑張ってもスチールワイヤーって伸びるでしょ?でも油圧DBはオイルという圧縮できないものを押し出すことでブレーキシューを押し当てるので、引いた力(量ではない)に対してほぼ線形に制動力が立ち上がります。線形的に制動力が立ち上がる要因としては、オイルであることに加えてブレーキシューの厚さがあります。リムブレーキの分厚いゴムシューに比べ、DBでは極めて薄いシューで挟み込むために、シューの変形量が少ないのです。そして、この制動力の立ち上がり方は、苔むした下り坂など極めてμが小さい路面で、ロック寸前でコントロールする際などにも有用なのです。握力が少なく済むだけでなく、ブレーキ力の微細なコントロールを可能にします。キャリパーでも止まれるから問題ない!という人がいます。その制動力がどのように発揮されるのか、ロック手前の一番ブレーキが利くところを維持できるようなコントロール性があるのかを考えるとやはりDBのメリットは大きいです。。
 さらに雨天でのブレーキ性能が安定します。リムブレーキ、雨になると制動力がガタ落ちします。一方でDBは雨天でも制動力の減少はリムブレーキに比べればはるかに小さいです。ロードバイクって長距離走れるわけですし、にわか雨に振られることも少なくありません。全天候である程度の性能を出せるDBは利点があります。さらに常にブレーキパッド位置が適正化されるので交換まで調整が不要なのもいいですね。
2リム関連の問題解決
 リムのトラブルも減少しますね。リムブレーキでは、リムを挟んで止めるので、リムが削れていく上にリムに熱が溜まります。そうすると、リムが破損する可能性が特にカーボンリムで高くなります(アルミリムでも壊れる場合はあるようです)。走行中にリムが破損したら最悪死ぬ可能性だってあります…。怖いですね。でもDBならリムは削れないし熱もかけないので安心ですね。そうなるとカーボンリムがもっと普及していくと私は考えています。

3DB化に伴うスルーアクスル化
 さらにホイール固定形式がスルーアクスルに代わることによるメリットです。だれでも下り坂なら70km/hも出るような乗り物なのに、たった5mmのシャフトをカムで引っ張り、その引っ張りによって生まれた力でハブとフレームの摩擦で固定しているクイックリリース。冷静に考えておかしくありませんか?輪界の常識の世間の非常識ですよ。1927年に故カンパニョーロ氏が発明したクイックリリース、スタンダードとして世界中のロードバイクで採用されていますが命を預ける乗り物のホイールの固定方法としてはあまりに貧弱じゃあありませんか。ディスクブレーキ化に伴って行われるスルーアクスル化では、ホイールの固定方法がシャフトをフレームに固定するように変わります。これはオートバイで常識の固定方法で、鈴鹿8耐などでは交換風景が見られますね。


これによりホイールがフレームにちゃんと固定されることで、捩じれる力がかかってもフレームに対してホイールが斜めを向くことがなくなります。さらにホイールの脱落リスクも極めて小さくなります。何度も繰り返しますがクイックリリースってヤバいホイール固定方法じゃね?


デメリット
1重量増
 デメリットとしては重量増です。ざっと計算してSTIで300g フレーム強化で200g ディスク盤前後で150g ホイールの強化に100g で大体キャリパーブレーキに対して750g程重量が増加します。最も油圧Di2にすればSTIの重量が(ワイヤー変速油圧STIに対して)かなり軽くなるのでキャリパーロードとの差は600g程度でしょうか。STIの重さは車体を振った時の重さに直結しますから、出来ればDi2でSTIを軽量化するのがいいですね。とにかく大体ボトル一本分重くなるわけです。これをどう見るかですね。ロードバイクってヒルクライムだけする自転車でもないからたとえボトル一本分くらい重くなっても油圧にするべきだと思いますがね。
 UCIレースの規定では最低重量は6.8kgです。つまり、キャリパーロードの時点で6.1kgくらいの自転車はパワーメーターやらBBに錘入れるやらなんやらつけて6.8kgまで持ってってレースに出ているわけです。お気づきでしょうか、ディスクブレーキにしても重量が変わらないことに。というわけでこれからはロードレースのシーンでDBは増えていくと思います。一般人にとってもよく効いてコントローラブルなブレーキはメリットが大きいと私は考えてます。
 あとは値段の上昇もデメリットです。油圧DBにするとキャリパーに対して5万円程度高くなります。80万→85万は大した問題ではありませんが、エントリーモデルが15万→20万になるのは結構変わってきますね。

2フレームの設計の当たりはずれ、乗り心地の悪化
 フレームの当たりはずれもあります。ディスクブレーキの台座をフレーム末端に置くことで剛性バランスがどうやらリムブレーキロードとは全く違った設計がいるようでして、下手に快適性を求めたりすると全く踏んでも進まない自転車になるようです。これは設計の問題でして、試乗して見ると結構わかりますw。DBロードを出してから、少なくとも1回はモデルチェンジを行ったメーカーの物を選ぶといいものである確率が高いように思います。
 さらに乗り心地です。先ほど述べたように、ブレーキ周りの設計上どうしてもDB対応フレームは乗り心地が悪くなります。個人的にはスルーアクスルも乗り心地悪化に一役買っているような気がします。これに伴って、30c程度のタイヤが主流になるのではないかなと個人的には考えています。
3メンテナンス
 最後にメンテナンスです。ロード用油圧って結構クセがあって組むのに工夫がいります。腕がお察しな自転車店では到底扱えないと思います。馬鹿が組むと、最悪の場合オイルが漏れたりホースが外れたりします。怖いですね。まあ私は自分で組んだ素人整備で今のところ飛行機輪行やらグラベルライドやら繰り返しても無問題ですが、腕の悪い自転車店だとトラブルが出る可能性はあります。まあそんな腕のお店はもともとロードバイク売っちゃいけないようなお店だったということです。というわけでこれは店サイドの問題です。

巷で言われる欠点 
 それでは一般的に言われている欠点を切り捨てていきたいと思います。
1 ホイールの選択肢が少ない 
 ずいぶんと増えてきましたよ。今後はもっと増えます。BORAだってZONDAだって
 ライトウエイトだってあります。
2 輪行中にレバー握ったりエアを噛んだりローター曲がったりするのが怖い
 普通に組んだらオイルラインにエアは一切なく密封されるのでエアを噛むことは
 整備不良だし、少なくとも輪行中倒したくらいではローターは曲がらないです。てか
 本当に油圧DB使って書いてる?エアインプレ?
 あと輪行中にレバー握っちゃっても、そんなガッツリ握りさえしなければローターで
 こじれば直りますし、それに輪行用にDBキャリパーに挟むスペーサーもあります。
3 STIが太い
 実際に握ってみましたか?周長では既存のSTIと変わりませんぜ?見た目だけで書いた
 エアインプレ?
4 集団走行中にクラッシュすると危ない
 ピザカッターみてえな鋭利でもっと危ないパーツがあって、チェーンリングっていう
 んですけど、それいうならベルトドライブにしようぜ。それに今のディスクはちゃんと
 端っこが処理されてて刺さらないし、それにディスクのせいで怪我したっていう話は実
 はディスクじゃなかったって否定されてたはず。
5 規格が不安定
 100*12mmフロントスルーアクスルにリアは142*12mmスルーアクスルでほぼ確定的
 になったからディスク買おうなw
6 横風に弱い
 これは確かにそう。ローターによっては風にあおられる。XTの160mmローターは風
 の抜けが良くってオススメ。風が抜けるローター使うとマシになります。

総括
 ディスクブレーキ化スルーアクスル化によるメリットはデメリットを十分に上回ると考えています。規格としてはフラットマウント、フロント100*12mmリア142*12mmスルーアクスルで確定でしょう。そしてブレーキ性能の向上や、剛性向上による乗り心地の悪化とのバランスをとり、さらにリムの強度も必要になる中で、30c程度の太目のタイヤとワイドリム、さらにはチューブレスが台頭すると個人的には考えています。これをにらむとタイヤクリアランスのないDBフレームは買えませんね。そしてフレームは少なくとも一度はモデルチェンジしているものを選ぶこと、あと風抜けのよいローターを選ぶこと、最後にちゃんとした腕のある自転車屋を選ぶことです。実は最後が一番むつかしい
 さすればきっと幸せなディスクロードライフが開かれることでしょう。700g増加って言ったって乗ってる人間と自転車合わせれば70㎏あるとして1%ですからね。
 
 

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